No.4 主体的な学習

学習効果が最も出る学習のあり方とは、学習者本人が主体的に学ぶことである。

 

 この点は誰しもがよく知っていることだが、学校で学ぶ内容の多くが学習者にとって主体性を発揮して学ぼうとする対象とは言い難い。故に教師は、自分が教えたい内容や教えなければならない内容を、学習者の学びたい内容へと転換していく工夫を施す必要が生じてくるのである。

 これを「動機付け」という観点から捉えるとどういうことになるのだろうか。

 「動機付け」には基本的に「外発的動機付け」と「内発的動機付け」とがあり、後者の方が純粋に学習に対する動機として捉えられている。

「外発的動機付け」とは報酬や罰則などによって間接的に学習に導くための動機付けであり、魅力や危険の回避を感じる対象は学習とは別に存在している。
これに対して「内発的動機付け」は、学習そのものの中に意義や価値、おもしろさなどを見出させ、学習への原動力とする動機付けである。

 この点から主体的な学習とは何かということを考えると、「学びたい」という欲求の喚起であるといえる。

このような考え方は、ここ二十年くらいの間、主流であったのだが、最近の主体的な学びという概念にはもうちょっと他の要素が絡むようになってきた。

生涯学習」の発想が我が国の教育界に導入されてはや十年以上経過する。この中で、「自己学習者の育成」が目指されてきた。これは、学校教育を離れても自らの能力向上のために学び続ける市民の育成を指している。ゆえに、公的機関や民間の社会教育機関が創設され、学びたいときにいつでも学ぶことの出来る社会となった。

 これはたとえばノバやアビバなどの民間の教育機関に対する助成金職業訓練センターなどの無料化に見られるように、そこに経済的な格差を持たせない工夫が施されている。
 これによって一番よくなったのは、学校教育の中で全部教えてしまわなくてもよくなったと言うことだ。これは、戦後ずーっと教育内容が増加してきた日本にとって苦肉の策とも言える。学校で教えなければならない内容を、生涯をわたって学ぶ内容へと転化させることで、学校教育にゆとりを持たせようとしたのである。最近の学力低下とも微妙に絡む問題ではあるのだが・・・。

 話を戻すが、こういった流れの中で、自己学習者の育成を目指す現在の学校教育は、学習者の主体性の中に、能力的な側面を見出した。

「主体的に学ぶ意欲の形成」に加えて、「主体的に学ぶ方法」を身につけなければならないということである。

「学び方」を学ぶということが指摘されてきたのもこういった経緯によるものであろう。

 そこで、


 意欲・・・・おもしろさから社会的意義、必要性、価値観を感じさせること
 学び方・・・情報収集力や情報処理能力の育成

 

 の二点を具体的に教科の授業に即して説明することがこの問いには必要となってくる。

 一つ目の内容を記述するのはふつうに勉強すればある程度は可能だ。二つ目への目配りができていることが他の受験者との差を際だたせるポイントとなるだろう。