No.50 レデイネス

①レディネスとは何か
 学習を組織する際に、学習内容が学習者の現在の能力に適しているかどうかということは非常に気にするのだが、教科書などを中心に授業を進めている場合にはそういったことを学習者個々人にまで気にする事はなかなか難しい理想的な考えになってしまう。また、初めて出会う教材に対して、自分の知っていることや経験したことを結びつける機会を導入段階で設けることで、より効果的な学習が組織できることも多い。
 レディネスとは、これから学習することに結びつくことのできる学習者の既有知識や経験などを想起させる機会を確保することなどで、これから行う学習に対して準備する事を指している。
 そういった意味では、これから学習する内容に結びついたり必要であると思われたりする過去の学習をもう一度振り返る機会を設けることも同様である。

 

 

②診断的評価によって得られる情報
 国語の授業を考えていく際などには、これから学習する教材のどこに目を向けているか、好きか嫌いかなど、能力でなく学習者が教材をどのように受け止めたかという情報を必要とする場合がある。それによって学習内容を精選していったり焦点化していったりすることでより学習者の意識に適した学習が組織できるからだ。こういった場合、初読の感想を書かせたり、口頭で感想を述べさせたりする学習をおく場合もある。
 こうした情報は能力以上に意識の問題なので、学習に対して意欲の低い学習者や苦手意識を持っている学習者への治療的指導に寄与する情報であるといえる。
 こうしたこれから行われる学習に対するマイナスの意識をプラスに置き換えていくような導入を考えていくのも一つのレディネスであるといえる。

 

 

③目標と価値を意識させる
 ①で能力的なレディネスについて、②で意識面でのレディネスについて述べた。最後に、学習そのものに対する理解を深めるレディネスについて述べることとする。
 これから行われる学習に必要な能力や意識を準備する学習機会を設けることに加えて、これから行われる学習に対する理解を深める学習を組織することが必要となる。
 つまり、これから行われる学習が何のために、どのような方法で行われるかからはじまり、どのようなことを身につけることを目標としているか、どのような点を評価されるのか、などこれからの学習の具体的なイメージとゴールを理解させることが重要である。
 目的や目標、価値や意義を理解しないままで学習してもほとんど効果は得られないからである。