No.6 学習の動機づけ

小学生の子どもたちに、「何で勉強するのか」と聞いて、どんな答えが返ってくるのだろうか。

 親に叱られるから、という理由が大きかったのはずいぶん前のことかもしれないが、でも、何か買ってもらえるからとか、みんなに馬鹿にされるからとかいった理由が多いらしい。
 「学習の動機づけ」には、大きくいうと、「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」というのがあるけど、これらは全部外発的な動機づけ。

 一方で「勉強がおもしろい」(漠然としすぎているが・・)のたぐい、「人体の秘密に興味がある」とか「先生に本を読んでもらうのがすき」とかいった理由で学習に取り組む場合、「内発的動機づけ」という。

 両方比べてみると、圧倒的に前者が多いにも関わらず、学習効果が高く、学習した内容の残存率も圧倒的に高いのが後者。つまり、先生はなるべく多くの子どもに「内発的動機づけ」を促すような学習を組織しなければ、お母さんの「べんきょうしなさい!!!」と同じ事を教室で給料をもらってやっているにすぎないということ。

 多くの授業を見て、「ん!これはうまい!」と思わされるものの多くは、動機づけ(多くの場合は導入)が非常にうまい授業だとおもう。

 教材と学習者との関係を内発的動機付けで結ぶことが、学習効果を高める一番の方法だし、教師の教師たるゆえんである。

 ちょっと専門的になると、微妙なのは「自己実現に関する動機づけ」、小学生にはあんまりいないけど、中・高生になると、「○○になりたい」といって自分で勉強に力を入れるところをコントロールし始める。「ぼくは医者になるんだから数学を死ぬほどがんばります」なら問題はないように思うんだけど、バランスの問題だから全部の教科に力を入れるわけではないので、かならず「ぼくは医者になるから国語は必要ありません」とかいった訳の分からない屁理屈を言ってくる。
 こうなると、進路指導との絡みもあるけど少し困ったことになる。
 こういった子どもにあえて国語の重要性を説くのが国語教師の本領というもの。それぞれの教科のおもしろさや人生における価値のようなものをしっかり認識しておくことが大事ですね。