教育心理(学習と発達)

No.67 青年期

①青年期に対する受け止め方 青年期に当てはまる年齢とは一体いくつからいくつまでなのであろうか?エリクソンなどはアイデンティティー確立時期として、12歳から18歳を挙げているが、社会の変化に伴って具体的な年齢は変動していると思う。 さて、近代教…

No.59 原因帰属理論

①原因帰属理論とは何か 1971年に出されたWeiner,Bの理論であるが、それ以前にも方角の分野などでは原因帰属ということが考えられていたようだ。 原因帰属理論は自分の行動の結果の善し悪しをどのような原因に帰属させるかということの違いによって、その…

No.50 レデイネス

①レディネスとは何か 学習を組織する際に、学習内容が学習者の現在の能力に適しているかどうかということは非常に気にするのだが、教科書などを中心に授業を進めている場合にはそういったことを学習者個々人にまで気にする事はなかなか難しい理想的な考えに…

No.48 完全習得理論と適正処遇交互作用

①完全学習理論 マスタリーラーニングとも呼ばれる考え方。エリート教育が社会の進歩を目指したものであるとするならば、大衆教育は社会の治安の維持のためにある。近年、基礎・基本の重視が叫ばれている現状は、社会の治安の維持と深く関係している。 それほ…

No.43 学習性無力感

人間にとって学習とは、つねにプラスの方向性を持ったいるわけではない。「国語嫌い」や「算数嫌い」、なべて「勉強嫌い」も日々の学習の積み重ねによって獲得するものである。 特にここでいう「学習性無力感」とは、随伴性の問題に密接に原因があると考えら…

No.40  学習環境

社会学や心理学が、学校という制度や装置を分析の対象としはじめてから、学校というものが学習者に及ぼす様々な影響が明らかにされてきた。 その中で、我々教育に携わるものは、授業を工夫していく以上に学習環境を整備することに目を向けなくてはならないと…

No.38 ハビトスと学習動機

学習動機が高いと学習効果も高いという相関性はあるようで、現実的にはそうでない場合もある。 すごくまじめに授業に参加し取り組んでいるのに、テストをすると良くできないという学習者が実際にいる。 こういった授業に積極的に参加する学習者は教師として…

No.37 エピソード記憶

認知科学の知見を教育に応用することは、この十年間様々な研究分野で進められてきた。正直、状況論に入りこんでから、微妙になってきたとはいえ、まだまだ実際の教育に有効な視点を与えてくれる。 短期記憶と長期記憶という記憶の分類も、認知科学がもたらし…

No.36 自己中心性

ピアジェの発達論の中でも、言語発達の問題と深く関係しているのは実は自己中心的思考から脱中心化への流れではないかと思っている。 幼稚園児を見ていると、空間や時間の概念を十分に獲得できていないために、自他の区別があんまりできない。 だから「ごっ…

No.35 道徳性の発達

学習者の学習のプロセスを、詳細に追い、そこに働く様々な力を明らかにし、その影響が具体的にどのようなものかということについて考えていくことは非常に重要である。 このように書くと非常に難しく感じるかもしれないが、要は、学習内容を巡って行われる教…

No.34 ハーローエフェクト

最近、現場の先生に自分のクラスの学習者一人一人の国語学力をどのように把握しているのかという調査をした。 これは、教師が授業を構想する際に、対象となる学習者の学力を詳細に把握していることが非常に重要なことだという点を補強すると共に、具体的にど…

No.31 遊びと学び

幼児教育における「遊び」は非常に重要な概念である。幼児は、遊びを通して様々なことを学ぶ。ゆえに幼児教育に携わるものは、様々な遊びを開発する努力を払っている。 一変して、小学校に上がると、遊びは学びの反対側にあるもののように捉えられている。 …

No.26 リテラシー

もともとリテラシー(literacy)とは、「文字の読み書き能力」のことである。 でも最近このリテラシーやたらといろんなところで使われているので整理しておくことにしました。 基礎学力の低下などで、指摘されている「リテラシー」とは、語義通りの中身で、ま…

No.20 学び方の学習

一時期、勉強の仕方が分からない、という子どもの相談に乗っていたことがある。本の読み方とか、ではなくて、効果的な暗記の方法とか、計算練習をどのくらいの文量でどのようにすればよいかといったことを教えた記憶がある。 勉強ができない子は、内容そのも…

No.18 発達の最近接領域

教材から学習者に適した学習内容を抽出し、目標化する仕事は、日常的に学習者とふれあっている教師にしかできない仕事である。 教科書を作成していて時々願うのは、多くの優れた教師の観察眼によって、学習者に適した学習が組織されて欲しいということである…

No.12 学習の転移

生きるために必要な学習内容を全て学校で教えることはできない。この点について、学習内容の精選という発想が生じてくる。 どんなに精選しても、時代は変わるし、偏りが生じてくるのは否めない。そこで、二つの考えが生まれる。 1965年にユネスコの成人…

No.10 治療的指導

何年か前に、『国語教育300の基礎知識』にこういうことを書きました。治療的指導は、様々な評価論の動向を踏まえて、重視され始めた頃のことです。 学習者のつまづきや苦手な部分を、精度の高い評価によって把握し、効果的に指導をすることを指していまし…

No.7 テスト法の功罪

テストについて、現場の先生方にうかがってみると、結構頼りにしている人もいらっしゃって、一時期(1980年代~1990年代初頭)のようにテストを批判する人の数が減ってきたことに気づきます。 三、四年前に、評価基準と評価規準を明確にした年間指導…

No.6 学習の動機づけ

小学生の子どもたちに、「何で勉強するのか」と聞いて、どんな答えが返ってくるのだろうか。 親に叱られるから、という理由が大きかったのはずいぶん前のことかもしれないが、でも、何か買ってもらえるからとか、みんなに馬鹿にされるからとかいった理由が多…

No.5 授業過程と評価

授業を構想する際に重要な条件として、構想した授業過程や学習活動が、目の前の学習者の能力や興味等に可能な限りフィットしたものになっているか、という観点がある。 この視点を重視して学習を構想しようとするならば、授業過程の適切なポイント、ポイント…

No.3 習熟度別クラス

中学生の時、毎週テストをして、その結果でクラスを変更した経験がある。ああこれが習熟度別クラス編成の極みか、と最近思う。毎週変わるというのもどうだかと思うんだけど、それくらい当時は受験戦争が激しかったんだな。 習熟度別クラス編成も、当時は選抜…

No.2 学習の個別化

子ども一人一人に適した学習がある、とするならば、現在行われている集団での授業は、どこまでも効率を追求したものであるといえる。教師一人が示しうる学習方法は、せいぜい一つか二つであるとするならば、それに適応できる子どもの数も当然限られてくる。 …