教育史

No.55 自己教育力

①歴史的経緯 ユネスコの会議で、ポール・ラングランが生涯学習の考え方を提示したことを受けて、臨時教育審議会の諸答申が生涯学習を重視する考えを提示したが、この中で、生涯にわたって学び続けることのできる主体的な学び手を育てるという目的に合致する…

No.54 生活指導と生徒指導

①歴史的経緯 生活指導とは、『授業研究 重要用語300の基礎知識』によると、1920年代の民間教育運動のなかで生み出されて発展してきたものであるといわれている。 大正期に起こった生活綴方運動や生活教育運動のように、学習者自身が学習の中で生活を…

No.51 範例学習

①範例学習 範例学習の考え方は、学習の転移性の問題と深く関係している。無限に学習時間があるのならば、いくらでも学習内容を増やせるのだけれども、限られた時間の中で最大限に広く学習内容を配列しようとすると、応用範囲の広い学習内容を精選して配列し…

No.48 完全習得理論と適正処遇交互作用

①完全学習理論 マスタリーラーニングとも呼ばれる考え方。エリート教育が社会の進歩を目指したものであるとするならば、大衆教育は社会の治安の維持のためにある。近年、基礎・基本の重視が叫ばれている現状は、社会の治安の維持と深く関係している。 それほ…

No.33 過去の教育プランから何を学ぶか

学校独自のカリキュラムの創造が求められる中で、教育プランに関する歴史的理解が再度進められている。 私が訪問している小学校の校長先生も、主体的学習を導入しようと検討しているとおっしゃっていた。そういうことを聞くと、特に大正期に我が国に導入され…

No.29 直観教授

明治の頃、語を学ぶ方法として、唯物示教(オブジェクトレッスン)という方法がとられていた。「たこ」という語を学ぶのに実際の「タコ」を見せ、視覚的な理解と言葉の理解とを併せて語の学習を行った。 これは、現代の認知科学的な考え方に基づくと、スキー…

No.28 子どもの発見

ルソーの『エミール』で示された「子ども観」は、教師として仕事をする上で忘れてはならない子供観である。 子どもは大人によって育てられる存在であると共に、自らが伸びていこうとする主体的存在である。 こんな当たり前のことも、日々の授業の中で見失わ…

No.25 授業のプロジェクト化

プロジェクトメソッドとは、キルパトリックが開発した学習形態である。基本的には経験主義教育を理論的背景に置いている問題解決学習である。 具体的には作業を通して、学習者自身が問題解決過程をたどり、その中に学びが生成するというものである。 ゆえに…

No.24 発見学習

最近の子どもは物知りだ。テレビをよく見て育っているので、いろいろなことを知っている。時々小学校の子どもなんかに、最近は大学も大変ですねなどと言われぞっとすることがある。 多くの研究者が長い年月をかけて発見してきた様々な事柄を知識として理解す…

No.23 系統学習

系統学習が日本に導入された経緯は古い。明治20年から30年頃、ドイツのヘルバルト主義の教育理論が導入されたところにさかのぼる。ヘルバルトといえば、五段階教授法で知られているが、我が国で進められた実践は、既存の学問体系の効果的な注入であった…

No.22 問題解決学習

中学校の読みの授業の多くは、教材の中から考えてみたい課題を発見させ、その解明に向けた再読を促すことを学習過程の背骨にしている授業が多い。 これは、ここでいう問題解決学習とは少し異なるものとして考えたい。 そもそも問題解決学習は、デューイの理…

No.18 発達の最近接領域

教材から学習者に適した学習内容を抽出し、目標化する仕事は、日常的に学習者とふれあっている教師にしかできない仕事である。 教科書を作成していて時々願うのは、多くの優れた教師の観察眼によって、学習者に適した学習が組織されて欲しいということである…