教育原理(教育学)

No.66 プロジェクトゼロ

①プロジェクトゼロに至る経緯 1967年に開始されたハーバード大学の「プロジェクト・ゼロ」は当初、グッドマンが提唱した「構成主義」に基づいて、芸術的能力育成のプログラムの開発に取り組んでいた。 しかし1980年代からは、ガードナーが提唱した「…

No.65 職業教育とキャリア教育

①職業教育重視の経緯 職業教育はキャリア教育とも呼ばれ、現代社会における若年雇用問題、フリーターやニーとの増加など諸問題を背景にして重視されてきた。1999年の中教審答申で「望ましい職業観・勤労観及び職業に関する知識や技能を身につけるととも…

No.64 年間指導計画

①年間指導計画の必要性 OECD実施のPISA調査の結果が回数を追うごとに悪くなっていることは、一概に日本の子どもの学力が低下していることと結びつくわけではないと考えている。参加国の増加や、参加状況が国によって大きく異なる点などを踏まえると順位その…

No.63 幼小連携

①取り組みの起こり 幼小連携に関しては、文部科学省中央教育審議会幼児教育部会などで、幼稚園と小学校の連携を模索する動きがあったことが最初なのではないかと考えているが、10年ほど前から、12年一貫教育など小中高等学校の連携を模索する動きがあり…

No.62 コンピテンシー

①本来の意味 「コンピテンシー」という用語はもともと、アメリカのマクレランドが国務省の依頼を受け知能レベルが同等の外交官に業績の差が生じるのはなぜかということを明らかにしたのが始まりで、人間の潜在的な能力に対して、結果にダイレクトに結びつく…

No.60 地域単元

①地域単元とは何か 教科書の編集に関わっていると、教科書でしかできないことと教科書ではできないことがはっきりしてきます。教科書ではできないことの一つに地域に関する学習を提案することがあります。 国語などでは、地域の独自性を持たせた学習としてせ…

No.58 学級通信

①学級通信の目的 小学校の担任などをすると、保護者との関係の重要性を身にしみて感じることがある。一緒に学習者を育てていこうとする姿勢がなければ保護者との協力関係は作り出すことができない。 学校で今何を学んでいるかということは保護者には学習者の…

No.57 学校図書館の役割

①学校図書館の目的 基本的に学校図書館に関する規定は学校図書館法という法律に記されている。この法律はとても古い法律なので施行規則などの細則の変更でここまで来ているが、根本的に見直す時期に来ていると思う。以下に記す。 学校図書館法(昭和28年法…

No.56 学校行事

①学校行事の内容 平成10年の学習指導要領の改訂で、小学校の特別活動は、学級活動、児童会活動、クラブ活動、学校行事の4つの分野で示され、中・高等学校は、学級活動、生徒会活動、学校行事の3分野で示された。 中・高等学校ではクラブ活動が廃止され、…

No.55 自己教育力

①歴史的経緯 ユネスコの会議で、ポール・ラングランが生涯学習の考え方を提示したことを受けて、臨時教育審議会の諸答申が生涯学習を重視する考えを提示したが、この中で、生涯にわたって学び続けることのできる主体的な学び手を育てるという目的に合致する…

No.54 生活指導と生徒指導

①歴史的経緯 生活指導とは、『授業研究 重要用語300の基礎知識』によると、1920年代の民間教育運動のなかで生み出されて発展してきたものであるといわれている。 大正期に起こった生活綴方運動や生活教育運動のように、学習者自身が学習の中で生活を…

No.53  国際理解教育

①国際理解教育重視の経緯 1974年にユネスコから、「国際理解・国際協力及び国際平和のための教育並びに人権及び基本的自由についての教育に関する勧告文」が提示された。その中には、指導原則として以下の七つの観点が示された。①全ての段階及び形態の教…

No.51 範例学習

①範例学習 範例学習の考え方は、学習の転移性の問題と深く関係している。無限に学習時間があるのならば、いくらでも学習内容を増やせるのだけれども、限られた時間の中で最大限に広く学習内容を配列しようとすると、応用範囲の広い学習内容を精選して配列し…

No.49 食育

①食育の歴史 食育という言葉は、もともと明治時代に陸軍軍医である石塚左玄の『通俗食物養生法』に示された造語であったそうだが、2005年に食育基本法が成立したことによって教育現場でも様々な取り組みが進められるようになった。 その後、内閣府を中心…

No.45 TT

①成立の背景 1955年に、ハーバード大学のケッペルによって考案された教授法。協力教授組織と翻訳される。この教授法はもともと、教室での一斉学習において、教師主導型の授業が主流をなしていた時代に、(現在もそういう授業をする教師はいるがだいぶん…

No.44 カリキュラム

今、教育も地方分権型に移行していこうとしている。6・3・3制も弾力化して、小・中一貫校や中・高一貫校などが作られてきている。 こういった流れと連動して、それぞれの学校がそれぞれの独自性を出す必要性に迫られている。「学校の独自性」を社会に説明…

No.40  学習環境

社会学や心理学が、学校という制度や装置を分析の対象としはじめてから、学校というものが学習者に及ぼす様々な影響が明らかにされてきた。 その中で、我々教育に携わるものは、授業を工夫していく以上に学習環境を整備することに目を向けなくてはならないと…

No.27 教育課程の自主編成 カリキュラムマネジメント

最近、学校の独自性を出すことが、各学校に求められている。地方公共団体別に義務教育の編成も変更可能となり、633制も変動する可能性が出てきている。 こうした中で、各学校が独自のカリキュラム色を社会に対して提案しなければならなくなってきているこ…

No.25 授業のプロジェクト化

プロジェクトメソッドとは、キルパトリックが開発した学習形態である。基本的には経験主義教育を理論的背景に置いている問題解決学習である。 具体的には作業を通して、学習者自身が問題解決過程をたどり、その中に学びが生成するというものである。 ゆえに…

No.24 発見学習

最近の子どもは物知りだ。テレビをよく見て育っているので、いろいろなことを知っている。時々小学校の子どもなんかに、最近は大学も大変ですねなどと言われぞっとすることがある。 多くの研究者が長い年月をかけて発見してきた様々な事柄を知識として理解す…

No.23 系統学習

系統学習が日本に導入された経緯は古い。明治20年から30年頃、ドイツのヘルバルト主義の教育理論が導入されたところにさかのぼる。ヘルバルトといえば、五段階教授法で知られているが、我が国で進められた実践は、既存の学問体系の効果的な注入であった…

No.22 問題解決学習

中学校の読みの授業の多くは、教材の中から考えてみたい課題を発見させ、その解明に向けた再読を促すことを学習過程の背骨にしている授業が多い。 これは、ここでいう問題解決学習とは少し異なるものとして考えたい。 そもそも問題解決学習は、デューイの理…

No.21 バズ学習

バズセッションは、全体討議とペアトークとの間に位置づけて考えている。全体討議が難しいクラスや学齢が低いクラスなどで、ペアでの話し合いから少し広げて話し合いをさせたいなあ、と思うときにはバズを用いる。 これと同じように考えているのが「班」での…

No.20 学び方の学習

一時期、勉強の仕方が分からない、という子どもの相談に乗っていたことがある。本の読み方とか、ではなくて、効果的な暗記の方法とか、計算練習をどのくらいの文量でどのようにすればよいかといったことを教えた記憶がある。 勉強ができない子は、内容そのも…

No.19 授業のオープンエンド化

授業のオープンエンド化について話題になることが多い。過去に「主体的学習」として提案されたものに少し似ているような気がするが、クローズエンドな授業が多い中で斬新な感覚で受け止めている。 この、「オープンエンドの授業」とは、実践レベルでいえば、…

No.16 国際理解教育

国際理解教育の重要性が提唱されたのは、1974年のユネスコの「勧告文」であった。 それ以来我が国でも、国際理解教育が教育現場で意識されるようになってきた。 そもそも、日本人は外国人とのコミュニケーションが苦手だといわれもするし、外国人からそ…

No.15 フリースクール

フリースクールとは、日本では不登校等の問題を抱えた子どもたちが通う学校として認可されていない「私塾」的なイメージが強い。 しかしながら、既存の学校制度による不自由さを批判し、新たな学校として作り出されたものをフリースクールと呼ぶ。 イギリス…

No.14 教科担任制と学級担任制

教科担任制とは、中学校や高等学校のことをイメージすると良いし、学級担任制は小学校の時のことをイメージすると良い。 しかし問題は二点あり、 ①小学校の学級担任制だと、クラス担任が全ての授業を担当するため、授業の専門性がどうしても低下してしまう。…

No.13 正統的周辺参加

知識注入型の授業形態から脱却しようとする試みは、1980年代くらいから盛んに試行錯誤された。情意的領域を重視した学習活動を組織したり、対話的な授業を試みたり、様々な悪戦苦闘が繰り返されたように思う。 90年代初頭にレイブとウェンガーが『状況…

No.12 学習の転移

生きるために必要な学習内容を全て学校で教えることはできない。この点について、学習内容の精選という発想が生じてくる。 どんなに精選しても、時代は変わるし、偏りが生じてくるのは否めない。そこで、二つの考えが生まれる。 1965年にユネスコの成人…