No.68 携帯電話と情報モラル教育

①携帯電話の学校持ち込みについての通知 平成21年1月30日の文部科学省からの通知で、小・中学校では、学校に携帯電話を持ち込むことは原則禁止にするよう求められました。 その通知に示されている内容は以下の通りです。 児童生徒の学校における携帯電…

No.67 青年期

①青年期に対する受け止め方 青年期に当てはまる年齢とは一体いくつからいくつまでなのであろうか?エリクソンなどはアイデンティティー確立時期として、12歳から18歳を挙げているが、社会の変化に伴って具体的な年齢は変動していると思う。 さて、近代教…

No.66 プロジェクトゼロ

①プロジェクトゼロに至る経緯 1967年に開始されたハーバード大学の「プロジェクト・ゼロ」は当初、グッドマンが提唱した「構成主義」に基づいて、芸術的能力育成のプログラムの開発に取り組んでいた。 しかし1980年代からは、ガードナーが提唱した「…

No.65 職業教育とキャリア教育

①職業教育重視の経緯 職業教育はキャリア教育とも呼ばれ、現代社会における若年雇用問題、フリーターやニーとの増加など諸問題を背景にして重視されてきた。1999年の中教審答申で「望ましい職業観・勤労観及び職業に関する知識や技能を身につけるととも…

No.64 年間指導計画

①年間指導計画の必要性 OECD実施のPISA調査の結果が回数を追うごとに悪くなっていることは、一概に日本の子どもの学力が低下していることと結びつくわけではないと考えている。参加国の増加や、参加状況が国によって大きく異なる点などを踏まえると順位その…

No.63 幼小連携

①取り組みの起こり 幼小連携に関しては、文部科学省中央教育審議会幼児教育部会などで、幼稚園と小学校の連携を模索する動きがあったことが最初なのではないかと考えているが、10年ほど前から、12年一貫教育など小中高等学校の連携を模索する動きがあり…

No.62 コンピテンシー

①本来の意味 「コンピテンシー」という用語はもともと、アメリカのマクレランドが国務省の依頼を受け知能レベルが同等の外交官に業績の差が生じるのはなぜかということを明らかにしたのが始まりで、人間の潜在的な能力に対して、結果にダイレクトに結びつく…

No.61 ケースワーク

①ケースワークの重要性 近年、教員採用試験にもケースワークに基づく出題が見られるようになった。教育現場で起きる様々な問題にどのように対処するかを問うことで、受験者の教員としての問題解決能力を測ろうとするものである。 こういった試みの初期段階は…

No.60 地域単元

①地域単元とは何か 教科書の編集に関わっていると、教科書でしかできないことと教科書ではできないことがはっきりしてきます。教科書ではできないことの一つに地域に関する学習を提案することがあります。 国語などでは、地域の独自性を持たせた学習としてせ…

No.59 原因帰属理論

①原因帰属理論とは何か 1971年に出されたWeiner,Bの理論であるが、それ以前にも方角の分野などでは原因帰属ということが考えられていたようだ。 原因帰属理論は自分の行動の結果の善し悪しをどのような原因に帰属させるかということの違いによって、その…

No.58 学級通信

①学級通信の目的 小学校の担任などをすると、保護者との関係の重要性を身にしみて感じることがある。一緒に学習者を育てていこうとする姿勢がなければ保護者との協力関係は作り出すことができない。 学校で今何を学んでいるかということは保護者には学習者の…

No.57 学校図書館の役割

①学校図書館の目的 基本的に学校図書館に関する規定は学校図書館法という法律に記されている。この法律はとても古い法律なので施行規則などの細則の変更でここまで来ているが、根本的に見直す時期に来ていると思う。以下に記す。 学校図書館法(昭和28年法…

No.56 学校行事

①学校行事の内容 平成10年の学習指導要領の改訂で、小学校の特別活動は、学級活動、児童会活動、クラブ活動、学校行事の4つの分野で示され、中・高等学校は、学級活動、生徒会活動、学校行事の3分野で示された。 中・高等学校ではクラブ活動が廃止され、…

No.55 自己教育力

①歴史的経緯 ユネスコの会議で、ポール・ラングランが生涯学習の考え方を提示したことを受けて、臨時教育審議会の諸答申が生涯学習を重視する考えを提示したが、この中で、生涯にわたって学び続けることのできる主体的な学び手を育てるという目的に合致する…

No.54 生活指導と生徒指導

①歴史的経緯 生活指導とは、『授業研究 重要用語300の基礎知識』によると、1920年代の民間教育運動のなかで生み出されて発展してきたものであるといわれている。 大正期に起こった生活綴方運動や生活教育運動のように、学習者自身が学習の中で生活を…

No.53  国際理解教育

①国際理解教育重視の経緯 1974年にユネスコから、「国際理解・国際協力及び国際平和のための教育並びに人権及び基本的自由についての教育に関する勧告文」が提示された。その中には、指導原則として以下の七つの観点が示された。①全ての段階及び形態の教…

No.52 ヒィドウン・カリキュラム

①潜在的な学習効果 学校教育を十二年間受けてくると、様々な身のこなし方を覚えてしまう。身のこなし方だけではなく、考え方や感じ方まで身についてしまう。これが潜在的に身についたものだけに非常にやっかいなkものとして映ってしまうことが多い。 自分の…

No.51 範例学習

①範例学習 範例学習の考え方は、学習の転移性の問題と深く関係している。無限に学習時間があるのならば、いくらでも学習内容を増やせるのだけれども、限られた時間の中で最大限に広く学習内容を配列しようとすると、応用範囲の広い学習内容を精選して配列し…

No.50 レデイネス

①レディネスとは何か 学習を組織する際に、学習内容が学習者の現在の能力に適しているかどうかということは非常に気にするのだが、教科書などを中心に授業を進めている場合にはそういったことを学習者個々人にまで気にする事はなかなか難しい理想的な考えに…

No.49 食育

①食育の歴史 食育という言葉は、もともと明治時代に陸軍軍医である石塚左玄の『通俗食物養生法』に示された造語であったそうだが、2005年に食育基本法が成立したことによって教育現場でも様々な取り組みが進められるようになった。 その後、内閣府を中心…

No.48 完全習得理論と適正処遇交互作用

①完全学習理論 マスタリーラーニングとも呼ばれる考え方。エリート教育が社会の進歩を目指したものであるとするならば、大衆教育は社会の治安の維持のためにある。近年、基礎・基本の重視が叫ばれている現状は、社会の治安の維持と深く関係している。 それほ…

No.47  バウチャー制度

①成立の背景 バウチャー(voucher)とは、利用券や引換券を意味する英語であり、個人を対象とする使途制限のある補助金の一種である。もともとバウチャーのアイデアは19 世紀中頃のフランスに遡るとされるが、学校教育機関の規制緩和に関連づけたものとして…

No.45 TT

①成立の背景 1955年に、ハーバード大学のケッペルによって考案された教授法。協力教授組織と翻訳される。この教授法はもともと、教室での一斉学習において、教師主導型の授業が主流をなしていた時代に、(現在もそういう授業をする教師はいるがだいぶん…

No.44 カリキュラム

今、教育も地方分権型に移行していこうとしている。6・3・3制も弾力化して、小・中一貫校や中・高一貫校などが作られてきている。 こういった流れと連動して、それぞれの学校がそれぞれの独自性を出す必要性に迫られている。「学校の独自性」を社会に説明…

No.43 学習性無力感

人間にとって学習とは、つねにプラスの方向性を持ったいるわけではない。「国語嫌い」や「算数嫌い」、なべて「勉強嫌い」も日々の学習の積み重ねによって獲得するものである。 特にここでいう「学習性無力感」とは、随伴性の問題に密接に原因があると考えら…

No.40  学習環境

社会学や心理学が、学校という制度や装置を分析の対象としはじめてから、学校というものが学習者に及ぼす様々な影響が明らかにされてきた。 その中で、我々教育に携わるものは、授業を工夫していく以上に学習環境を整備することに目を向けなくてはならないと…

No.39 中高一貫教育

大学入試と違って、高校入試は失敗させられないという意識が強い。中学三年の担任になると本当に強くそう思う。 中高一貫教育という考え方が1971年の中教審答申で示されてから、なかなか前に進まなかった中高一貫教育も、1997年6月第16期中教審答…

No.38 ハビトスと学習動機

学習動機が高いと学習効果も高いという相関性はあるようで、現実的にはそうでない場合もある。 すごくまじめに授業に参加し取り組んでいるのに、テストをすると良くできないという学習者が実際にいる。 こういった授業に積極的に参加する学習者は教師として…

No.37 エピソード記憶

認知科学の知見を教育に応用することは、この十年間様々な研究分野で進められてきた。正直、状況論に入りこんでから、微妙になってきたとはいえ、まだまだ実際の教育に有効な視点を与えてくれる。 短期記憶と長期記憶という記憶の分類も、認知科学がもたらし…

No.36 自己中心性

ピアジェの発達論の中でも、言語発達の問題と深く関係しているのは実は自己中心的思考から脱中心化への流れではないかと思っている。 幼稚園児を見ていると、空間や時間の概念を十分に獲得できていないために、自他の区別があんまりできない。 だから「ごっ…