No.16 国際理解教育

 

 国際理解教育の重要性が提唱されたのは、1974年のユネスコの「勧告文」であった。 それ以来我が国でも、国際理解教育が教育現場で意識されるようになってきた。

 そもそも、日本人は外国人とのコミュニケーションが苦手だといわれもするし、外国人からそう思われてきた。こういったコンプレックスにも似た社会の意識が、国際理解教育の必要性に拍車をかけたのも間違いないし、受験競争における英語の重視もそういった流れの中で位置づくように思う。

 しかしながら、国際理解教育が単純に諸外国の事情に精通した子どもを育てるということにはならない。

 グローバルコミュニケーションということを考えてみると、諸外国に関する知識を保有していることはいうまでもなく、コミュニケーション能力を身につけ、相互理解を図ろうとする意欲をもたせ、諸外国の知識以上に自国の文化を深く理解することが求められなければならない。

 ユネスコの勧告文の趣旨を箇条書きにすると以下のようになる。
①全ての段階及び形態の教育に国際的側面と世界的視点をもたせること。
②全ての民族、その文化、文明、価値及び生活様式に対する理解と尊重
③諸民族及び諸国民の間に世界的な相互依存関係が増大していることの認識
④他の人々と交信する能力
⑤権利を知るだけでなく、個人、社会的集団及び国家にはそれぞれ相互に負うべき義務があることを知ること
⑥国際的な連帯及び協力の必要性についての理解
⑦個々人が、自己の属する社会、国家及び世界全般の諸問題の解決に参加する用意をもつこと

 このように広い観点を、各学校種のそれぞれの教科の学習に反映させることは重要ではあるが難しいことでもある。 どの教科が、どの目標を主として担うかという点に吟味の観点が存在するし、具体的に学習が進められるとするならば、そういったことが整理されて提示されていく必要があるだろう。