No.22 問題解決学習

 中学校の読みの授業の多くは、教材の中から考えてみたい課題を発見させ、その解明に向けた再読を促すことを学習過程の背骨にしている授業が多い。
 これは、ここでいう問題解決学習とは少し異なるものとして考えたい。
 そもそも問題解決学習は、デューイの理論の中でも、反省的思考のプロセスを学習過程として位置づけて行われたものであって、学習内容の注入型の授業からの脱却を目的にしたものである。

 簡単にいえば、「学習内容=学習者が発見したり感じている社会的な問題」であり、そういう意味で経験主義的な学習であるとも言える。

 つまり学習者が感じている問題を出発点にして、その問題を解決するための過程を学習過程としているのである。ゆえに、系統的ではなく、学習者中心の授業形態であるが故に、教師の立ち位置が難しく学力低下を招くおそれが強い。
 
 学習者が問題だと感じていることを優先して学習を組織したいという願いはある。それによってリアルで主体的な学習が導けると考えるからだ。しかしながら、そればかりしていると、学問的な体系や系統性は見失われ、行き当たりばったりのカリキュラムになってしまう。
 それに対して、学問体系や系統性を重視しすぎると、学習内容は学習者から離れてしまい、知識注入型の授業に陥りやすい。

 ようはバランスや組み合わせの問題になってしまうのかもしれないけれど、どのように組み合わせれば両方の問題を解消できるのかということは実はまだ明確にされていないし、場合場合によって異なってくるものでもある。

 教師としては、できる限り様々な学習形態や方法を選択し、学習として組織しうる力量を身につけることが重要だと思う