No.26 リテラシー

もともとリテラシー(literacy)とは、「文字の読み書き能力」のことである。
 でも最近このリテラシーやたらといろんなところで使われているので整理しておくことにしました。
 基礎学力の低下などで、指摘されている「リテラシー」とは、語義通りの中身で、まさに文字の読み書き能力が低下していることを指している。
 それだけだと面白くないので、PISAの国際調査などで問われている国語の力なんかが、読解や表現力への単位の可能性など全く無視して、基礎的な説明書や説明文を情報として道理解するかというリテラシーに限定されているところなんかが、このリテラシーということばを使わせる背景にはあるんだろうと思う。

 次に「情報リテラシー」、これは、情報に対する理解表現力のことを指しているんだけれど、詳しく法令で追うと、1997年の文部省内調査研究協力者会議の報告で

 ①情報活用の実践力
 ②情報の科学的な理解
 ③情報化社会に参画する態度

の三点を挙げている。

 似たようなもので「メディアリテラシー」があるが、これは情報という対象がメディアに変えられているだけのものだから、同様の理解で構わないのではないでしょうか。

 いずれにせよ、国語教育の研究者として指摘するならば、リテラシーを重視するとどうしても、理解力に偏ってしまう。読む力が、情報理解力としてではなく読解力として捉えられる必要があるのは、理解力の深化はもちろんのこと、表現力への転移の問題があるからなのです。
 表現されたものを正確に簡潔に理解するだけならば、実はそんなに国語の時間は必要ではないと思う。やはり、自分で表現しようと思うと、物事を深く理解する認識力やそれをまとめ直す思考力などが必要となってきます。