No.35 道徳性の発達

 学習者の学習のプロセスを、詳細に追い、そこに働く様々な力を明らかにし、その影響が具体的にどのようなものかということについて考えていくことは非常に重要である。
 このように書くと非常に難しく感じるかもしれないが、要は、学習内容を巡って行われる教師と学習者のやりとり以外にも、学習を支える要素はたくさんあるということである。
 道徳性というとなにやら道徳という教科をイメージする人もいるかもしれないが、実は、全ての教科学習の学習発達に深く関係しているのがこの道徳性の発達なのである。
 学習効果が最も高い学習は自らが主体的自立的に行う学習であることはいうまでもない。しかし、子どもがいきなり主体的で自立的な学習者として存在しているわけではない。長い時間をかけて、そういった学習者に育っていくのであり、その育ちの道筋が道徳性の発達と深い関係にあるのである。

 ピアジェの道徳性理論では、大人の権威に従う他律的道徳から、相互的な尊敬に基づく自立的道徳へと変化していくプロセスを指摘する。
 これに対してコールバーグの理論で煩瑣らに詳細に水準を三つに分け、

 水準1 前道徳的な水準
 水準2 慣習的な社会的役割に従う水準
 水準3 自立的水準、道徳的原則による判断の水準

と考えた。
 これらは、結局、学習者が、授業において、教師や教科書、他の学習者とどのような関係を取り結ぶか、またどういう判断で関係を取り結んでいくかという点に深く関係している。
 逆に言えば、こういった道徳性の発達に併せて教師は権力的に振る舞う必要があったり、権威的に振る舞う必要があったりする。
 また教材や学習内容に関する知識や選択権をどの時期から学習者に委ねていけばよいのかということもこの道徳性の発達のプロセスを参考にして考えていかなければならない。