No.58 学級通信

①学級通信の目的
 小学校の担任などをすると、保護者との関係の重要性を身にしみて感じることがある。一緒に学習者を育てていこうとする姿勢がなければ保護者との協力関係は作り出すことができない。
 学校で今何を学んでいるかということは保護者には学習者の口を通してしか伝わっていかない。連絡帳などでやりとりをしたり、学習者と一緒に行う宿題を出したりして、保護者を学校の学習に引き入れようと工夫する教師も多いが、これも、保護者の協力なしではやせこけた学習しかできないということを理解しているからである。
 学級通信は古くから行われている保護者との交流の方法である。多くの先達が優れた学級通信を数多く出して保護者との関係を気づいてきたのはいうまでもない。
 しかしながら、その発刊のペースなどを考えてみると、多くの教師が最初の内は毎日だそうと試みるのだが、それが一月持てばいいもので、三日に一度になり、一週間に一度になりやがて学期末だけになってしまう。忙しいのであるが、それ以上にネタ切れになる場合が多い。多角的に発信する内容を意識できていれば様々なコーナーを設置して継続的に発刊できるのだがなかなかそういうわけに行かないのが現状であろう。

 


②何を書くか
 学校で行った学習の内容を伝える目的は非常に重要であるから保護者の興味を引くような書き方で(ここが大切)学習内容を伝えて欲しい。
 しかし、先にも述べたようにこれだけではネタ切れになるのは目に見えているし、間接的に保護者に学習を施しているようになりがちだから、次第に保護者の方も読まなくなってしまう。
 考えて欲しいのは、保護者が知りたがっていることは何かということである。保護者の多くは、自分の子どもが学校できちんとやっているのか、どのくらいのレベルで学習を進めているのかといった学習者個人個人の情報が欲しいのである。そう考えると、一ヶ月でクラスの学習者全員に触れるように配慮しながら、今日活躍した人コーナーなどを作成し、学習者個人の様子を情報として伝える工夫が必要となる。
 また、学習者自身が書いたり作ったりした物自体を掲載することも面白い工夫である。いずれにせよ、学習状況とはクラス全体の学習状況を指しているのではなく保護者にとっては自分の子どもの学習状況のことを指していることを忘れてはならない。
 また、もう一つは、保健便りなどによく見られるが、保護者自身を教育する目的に情報を提供するコーナーを作成しなければならない。自分より年上の保護者に向かって偉そうなことをいうのは口幅ったい感じがするかもしれないが、保護者は教育の素人だと思い、かつ教師は教育のプロとして教育に関する情報を分かりやすく面白く掲載していくことが重要である。

 

 

③HPの作成と注意したいこと
 最近は学校単位でHPを作成し学校の様子を保護者や社会に公表している学校が増えてきている。もう一歩進めて、クラス単位でHPを作成する時代がやがてやってくるだろう。いちいち保護者に学校に来てもらわなくてもメイルなどで手軽にやりとりすることも可能になっている。
 問題なのは、ネットワークを作成する方法と個人情報の保護や人権侵害を防止する措置を施す必要があることにある。
 保護者が知りたい情報は得てして他の保護者には知られたくないことでもある。そうした点に対する配慮がないと保護者からクレームが付くことを覚悟しなければならない。
 便利になってきて写真などもデジカメで撮ってすぐにアップできるようになり、今日の学習が今日の内にHPに掲載できるようになったが、覚えておかなければならないのは、親の立場に立って掲載する内容を選び出していかなければならないことである。