No.56 学校行事

①学校行事の内容
 平成10年の学習指導要領の改訂で、小学校の特別活動は、学級活動、児童会活動、クラブ活動、学校行事の4つの分野で示され、中・高等学校は、学級活動、生徒会活動、学校行事の3分野で示された。
 中・高等学校ではクラブ活動が廃止され、ボランティア活動の重視が挙げられるなど改定点が見られた。
 学校行事といっても入学式や卒業式などの儀礼的な行事から、はじまり様々な行事が存在するので、その内容を分類していかなければならない。
 学習指導要領の記述に沿えば、次の五つの行事の分類がある。
儀礼的行事
②学芸的行事
③健康安全・体育的行事
④遠足・集団宿泊的行事
⑤勤労生産・奉仕的行事

 

 

②学校行事の目的
 小学校指導要領では、次のような目的を示している。

 学校行事においては,全校又は学年を単位として,学校生活に秩序と変化を与え,集団への所属感を深め,学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うこと。

 (1)儀式的行事
学校生活に有意義な変化や折り目を付け,厳粛で清新な気分を味わい,新しい生活の展開への動機付けとなるような活動を行うこと。
(2)学芸的行事
平素の学習活動の成果を総合的に生かし,その向上の意欲を一層高めるような活動を行うこと。
(3)健康安全・体育的行事
心身の健全な発達や健康の保持増進などについての関心を高め,安全な行動や規律ある集団行動の体得,運動に親しむ態度の育成,責任感や連帯感の涵養,体力の向上などに資するような活動を行うこと。
(4)遠足・集団宿泊的行事
平素と異なる生活環境にあって,見聞を広め,自然や文化などに親しむとともに,集団生活の在り方や公衆道徳などについての望ましい体験を積むことができるような活動を行うこと。
(5)勤労生産・奉仕的行事
勤労の尊さや生産の喜びを体得するとともに,ボランティア活動など社会奉仕の精神を涵養する体験が得られるような活動を行うこと。

 また中学校学習指導要領では

学校行事においては,全校又は学年を単位として,学校生活に秩序と変化を与え,集団への所属感を深め,学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うこと。

(1)儀式的行事
学校生活に有意義な変化や折り目を付け,厳粛で清新な気分を味わい,新しい生活の展開への動機付けとなるような活動を行うこと。
(2)学芸的行事
平素の学習活動の成果を総合的に生かし,その向上の意欲を一層高めるような活動を行うこと。
(3)健康安全・体育的行事
心身の健全な発達や健康の保持増進などについての理解を深め,安全な行動や規律ある集団行動の体得,運動に親しむ態度の育成,責任感や連帯感の涵養,体力の向上などに資するような活動を行うこと。
(4)旅行・集団宿泊的行事
平素と異なる生活環境にあって,見聞を広め,自然や文化などに親しむとともに,集団生活の在り方や公衆道徳などについての望ましい体験を積むことができるような活動を行うこと。
(5)勤労生産・奉仕的行事
勤労の尊さや生産の喜びを体得し,職業や進路にかかわる啓発的な体験が得られるようにするとともに,ボランティア活動など社会奉仕の精神を養う体験が得られるような活動を行うこと。

 高等学校は中学校と同様なので割愛するが、特にポイントとなるのは⑤の勤労生産・奉仕的行事に関してであろう。
 職業教育の充実とボランティア活動などを通したよき市民の育成に重点が置かれていることが目標を読めば分かると思う。学校での学習においても職業・勤労に関する理解や社会との関わりを重視する一方でもっとダイレクトに職業教育や社会参加の機会を増やしていくことで、フリーターやニートの問題や社会性の欠如の問題を解決しようとする意図が見える。

 

 

③学校行事のもう一つの意味
 学校行事の目的は社会性の育成や職業教育だけでなく、実際の学校現場では、家庭との連携を確立する絶好の機会として考えられている。運動会や遠足などでも教師は保護者との関わりを持つ機会を得ることができる。さらに、授業参観や個人面談の機会とは異なり、保護者と協力して学習者をサポートする体制を取ることができるので、学習者を共に教育するという協力関係が生み出されやすい。
 家庭との連携を重視する一方で保護者の教育が求められている現在、こういった機会を見のがさず、保護者との相互理解を深めていくように心がける必要がある。